隠し部屋の秘境

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積和の公式は覚えよう

高校2年生位で習う積和の公式ですね。
割と面倒くさくて覚えたくない人も多いはず?(分からん)
先生によっても覚えろ派と覚えるな派がいると思いますが、大半は覚えるなと言うんじゃないでしょうか(正直これも分からん)
しかし自分は、積和の公式は覚えるべきだと思うんですよね。
今回はその旨について述べて行こうと思います。
(賛否両論なので持論だけ投げて終わりにしようと思います。未だ確信は持てないので)

理由1

積分で加法定理を使うことはないが積和の公式ならよく使う
まず次の積分を見てください。
\int \sin{(x+a)}dx
この被積分関数は加法定理によって展開すると思いきや、全く必要ありません。
t=x+aとおきます。dt=dx。
すると
\int \sin{(t)}dt
となるので積分できますね
-\cos{(t)}+C\\\ =-\cos{(x+a)}+C

次に、次の積分を見てください。
\int \sin{(3x)}\cos{(2x)}dx
ここで、\sin{(3x)}=\sin{(2x+x)}=\sin{(2x)}\cos{(x)}+\cos{(2x)}\sin{(x)}と展開すると、
 \sin{(2x)}\cos{(2x)}\cos{(x)}+\cos{(2x)}\cos{(2x)}\sin{(x)}\\\ =\dfrac{\sin{(4x)}\cos{(x)}}{2}+\dfrac{(1+\cos{(4x)})\sin{(x)}}{2}\\\ =\dfrac{\sin{(x)}}{2}+\dfrac{\{\sin{(4x)}\cos{(x)}+\cos{(4x)}\sin{(x)}\}}{2}\\\ =\dfrac{\sin{(x)}}{2}+\dfrac{\sin{(5x)}}{2}
このように随分手数が必要ですが、積和の公式を使えればこの結果が直接得られるわけです。
\sin{(3x)}\cos{(2x)}=\dfrac{1}{2}{\sin{(3x-2x)}+\sin{(3x+2x)}}\\\ =\dfrac{1}{2}{\sin{(x)}+\sin{(5x)}}
最終的に積分
-\dfrac{1}{2}\cos{(x)}-\dfrac{1}{5}\cos{(5x)}
となります。

理由2

積和の公式は"中央"に位置する
積和の公式を覚えるべきである最もたる理由がこっちです。
みなさんはホームポジションという考え方をご存知でしょうか。
バドミントンやテニスやってる人なんかだとよく知っていると思います。
要は、コートの中央に陣取って飛んできた球に合わせて少し手を伸ばすと打ち返せるという、応答性に優れた手段ですが、
積和の公式もこれと似たようなことが言えるのです。
積和の公式はちょっと変形するだけで2倍角の公式にも半角の公式にも和積の公式にも加法定理にもなります。
まさに中心に位置するのです。
一方加法定理では、和積の公式まで導くのに一度積和の公式を経由する必要がありますし、2倍角の公式を導くには数回の式変形が必要です。
つまり、これを覚えているか否かで受験などで起動力大きく関わって来るわけです。

理由3

案外覚えやすい。
積和の公式は次の3つしかありません
\cos{A}\cos{B}=\dfrac{1}{2}\{\cos{(B-A)}+\cos{(B+A)}\}
\cos{A}\sin{B}=\dfrac{1}{2}\{\sin{(B-A)}+\sin{(B+A)}\}
\sin{A}\sin{B}=\dfrac{1}{2}\{\cos{(B-A)}-\cos{(B+A)}\}
からしても統一性がありますが、さらに補助的に説明があります。

  • 積がcos同士,sin同士ならcosの和,

cosとsinの積ならsinの和となる

  • 引数は全てB-AとB+A
  • sinとsinの積だけ引き算、それ以外は足し算

→積にcosが混じってたら足し算

  • 1/2{ }は飾り

これは学校で習うのとは、だいぶ違ったと思いますが思いのほか簡単な形してると思いませんか?

理由4

積和の公式は覚える必要がないと主張する人々は実は積和の公式を覚えている。
彼らは加法定理から簡単に導出できるため、覚えなくてよいと主張しがちですが、
sin(a+b)=sin(a)cos(b)+cos(a)sin(b)
sin(a-b)=sin(a)cos(b)-cos(a)sin(b)

両辺を足して
sin(a+b)+sin(a-b)=2sin(a)cos(b)
sin(a)cos(b)=1/2{sin(a+b)+sin(a-b)}
果たして本当に簡単でしょうか?
なんの前提もなしに暗算で処理するには少々計算量があるように思われます。

これを暗算で処理するとすれば、上の2行即ち加法定理の格好が図形的に浮かび上がるレベルで定着していれば直接的に2sin(a)cos(b)がsin(a+b)+sin(a-b)になると算出できそうです。

ですがsin(a+b)とsin(a-b)が登場することは少なくとも覚えています。
なんなら、そこから足し引きするプロセスも覚えており、
それを図形的に処理することも覚えていれば
それはもはや積和の公式を覚えています。
なぜなら、その覚えた導出過程に積和の公式の完成系まで含まれてしまっているから。
要はこんな感じの図形で最早暗記しています。

彼らは"簡単に導出"しているつもりが覚えた事を書き出す作業をしていただけに過ぎないのです。
もちろんその方が確実に記憶出来ますが、加法定理を導出する人がいないように、しかし記憶違いが起こったりはしないように、
積和の公式も使っているうちに間違いなく引き出せるようになるはずです。(未検証)

まとめ

積和の公式を覚えましょう!!